おくすりQ&A ▶ 薬と薬、薬と食品などの飲み合わせ


Q 糖尿病の薬を飲んでいます。カロリーゼロの飲料水は血糖値を本当に上げませんか?
A 血糖値を上げる糖類は、ブドウ糖・果糖・ショ糖・砂糖などです。カロリーゼロの飲料水やあめ玉には甘味料として、糖アルコール(エリスリトール・キシリトール)、合成甘味料(アセスルファムカリウム・スクラロース)、アミノ酸系甘味料(アスパルテーム)などが含まれています。これらの甘味料は糖類ではないため、血糖値を上げず、インスリンの分泌に影響しません。またカロリーもほぼゼロです。 他の糖類にはブドウ糖が数個つながったオリゴ糖があります。オリゴ糖は体内でブドウ糖まで消化できないため、血糖値の上昇は非常に穏やかであると考えられます。ただし、オリゴ糖は糖質ですのでカロリーはあります。


Q 心臓の弁の手術を受けたあとワーファリンという薬を飲んでいます。ワーファリンを服用している時は納豆を食べないようにと聞いていますが、最近薬局で買った整腸剤に納豆菌入りと書いてありました。 この整腸剤を飲むのはやめておいたほうがいいでしょうか?
A ワーファリンは血液を固まりにくくして、血栓という血の固まりが血管や心臓の中にできるのを防ぐ薬で、特に心臓に人工の弁を入れる手術をした後は、弁に血栓がくっついて開かなくなる事態を防ぐという大事な役目を持った薬です。
ビタミンKをたくさん含む食品をとっていると、ワーファリンの効き目が悪くなることがあります。納豆の場合、大豆を発酵させている納豆菌が腸の中でも生きてビタミンKを作るため、ワーファリンの効き目を悪くします。確かに、最近発売された整腸剤には納豆菌を含むものがあるようですが、薬の説明書にワーファリンのことは書いてありません。しかし、生きた納豆菌が入っている以上、こうした整腸剤は納豆と同じように「とってはいけないもの」と考えてください。
ワーファリンの効き目に影響を及ぼすと考えられる食品や薬品は他にもいろいろあります。ワーファリンを服用中は、薬局の薬や健康食品であっても、購入前に医師や薬剤師にご相談ください。


Q うちの子供は卵白アレルギーですが、薬を飲ませる時には問題ありませんか?
A 薬の中には、卵白を原料として作られている製品がいくつかあります。そのような薬を卵白アレルギーの方が飲むと、アナフィラキシーショックなどの重篤な副作用を引き起こすことがありますので、診察の際には 他のアレルギー歴を含め、医師・薬剤師に必ずお伝え下さい。


Q 相互作用とは何ですか?
A 2種類以上の薬を服用している場合に、作用が強く出たり、効果がなくなったり、副作用が出やすくなったりする事を言います。薬によっては飲む時間を2時間以上ずらす事で回避できる場合もありますが、そうでない場合がほとんどです。
他の病院で処方された薬などがあれば、必ず医師・薬剤師にお伝えください。「おくすり手帳」を利用すると良いでしょう。


Q 貧血で鉄剤を頂いたのですが、緑茶を飲んだら効き目がなくなると聞きました。本当ですか?
A 緑茶に含まれているタンニン酸と鉄が結合したものは、消化管から吸収されなくなるのは本当ですが、お薬に含まれている鉄分の量はかなり多く、吸収されるべき鉄分には影響がないことが証明されています。従いまして緑茶を飲んでも問題ありません。


Q 私は牛乳を毎日欠かさず飲んでいますが、薬といっしょに飲んでいいですか?
A 牛乳には胃の粘膜を保護する働きがあり、胃を荒らしやすいお薬は一緒に飲んだ方が良い場合もあります。 しかし、お薬の中には牛乳に含まれているカルシウムと結合することで効き目が弱くなったり、脂肪分の存在で逆に吸収が良くなり過ぎるものもあります。また腸で溶けるように工夫されたお薬が、牛乳を飲むことで胃で溶けてしまい、胃酸で効き目がなくなったり、ゆっくり吸収されるはずのお薬が急激に吸収されてしまうこともあるのです。このようにお薬によっては牛乳を飲む時間とずらした方が良い場合もありますので、薬剤師にお尋ねください。


Q テレビでグレープフルーツジュースと薬の悪い関係について見ました。血圧の薬を飲んでいるのですが、大丈夫でしょうか?
A グレープフルーツ(ジュース)の中には、小腸内で薬を分解する酵素の働きを弱めてしまう物質が含まれています 。そのため、薬によっては体内への吸収が高まって効果が強く出たり、副作用が現れたりすることがあります。 この作用はグレープフルーツジュースのみでなく、グレープフルーツの果肉を食べた場合にもみられますのでご注意ください。
血圧の薬についてですが、血圧の薬の中でもグレープフルーツ(ジュース)の摂取がよくないのは、カルシウム拮抗剤といわれるタイプの薬です。カルシウム拮抗剤を分解する酵素の働きが弱まることで、通常より多くの薬物が体に取り込まれ、血圧が下がりすぎたり、動悸や頭痛が起こったりなどの副作用が出ることがあります。
このような薬を服用されている場合は、日頃からグレープフルーツ(ジュース)の摂取はしないほうがよいでしょう。また、血圧の薬以外でも、多くの薬でグレープフルース(ジュース)の影響があることがわかっていますので、その都度医師や薬剤師に確認されることをお勧めします。


Q ワーファリンを飲んでいるのですが、ヤクルトを飲んではいけないのですか?
A ワーファリンはビタミン K の含まれる食品や薬との併用が制限されています。ワーファリン服用中に多量のビタミン K を摂取してしまうと、ワーファリンの作用が減弱してしまいます。ビタミン K の含まれるものの代表が納豆やクロレラで、ワーファリン服用中はこれらを避けるようにしなければなりません。また、緑黄色野菜にもビタミン K がわずかに含まれますので大量摂取は控えるべきですが、通常摂取程度であれば大丈夫です。
ヤクルトに含まれる乳酸菌にはビタミン K 産生能力がありませんので飲んでも構いません。ヤクルト=クロレラというイメージをもたれている方もいらっしゃるかもしれませんが、現在ヤクルト社で販売されている商品ではそのような問題はありませんのでヤクルトとクロレラは別の物とお考えください。


Q 以前、鉄剤を服用していたときには吸収がよくなるからといってビタミンCが含まれているシナールという薬を一緒に処方してもらっていました。今回、別の病院でフェロミアという鉄剤を処方してもらったのですが、シナールは不要といって処方してもらえませんでした。なぜでしょうか。
A ビタミンCは吸収効率の良い二価鉄の状態を保つ作用があるため、鉄剤とビタミンCを併用すると鉄の吸収がよくなるとされています。しかし、フェロミアは、鉄と鉄吸収促進物質であるクエン酸との化合物であるため、特にビタミンCとの併用がないと考えられています。そのため、今回の病院ではシナールが処方されなかったと思われます。


Q お薬の説明書を見ていると、酸化マグネシウムというお薬の注意事項に「このお薬と一緒に牛乳を大量に飲むのはお控え下さい。」と書いていました。大量の牛乳とはどれくらいの量ですか?今、毎食後に180 mLの牛乳パックを1本、飲んでいますが大丈夫でしょうか?
A 酸化マグネシウムを服用しているときに、牛乳を大量摂取すると血液中のCaが高くなり、ミルク・アルカリ症候群と呼ばれる症状を起こすことがあります。大量の牛乳とは、一般的に1回に500 mL以上、1日に1 L以上を目安にしています。しかし、他の食品中のカルシウムも影響しますので、1回500 mLより少ない量でもミルク・アルカリ症候群が起こる可能性はあります。
1回180 mLでは問題ないと思われますが、便秘に対して酸化マグネシウムを服用し、1日に牛乳200 mLとアイスクリーム145g摂取を4ヶ月間継続することで、ミルク・アルカリ症候群を起こしたという報告もあります。服用中は頭痛・めまい・嘔気などの症状に注意してください。


Q 腎不全のお薬でクレメジンというお薬をもらっています。毎食後に他のお薬を飲んでいるので食間に飲むように言われたのですが、どうしても飲み忘れてしまいます。もっと早く飲んではいけないのでしょうか?
A クレメジンは、腸内に溜まった有害な物質を吸着して、便と一緒に排泄させるお薬です。他のお薬とクレメジンを一緒に飲むと、他のお薬も吸着されるためお薬の効果が弱くなる恐れがあります。このため他のお薬と一緒に飲まないようにする目的で「食間(食後2時間後)にお飲み下さい」と説明することがあります。
実際には、同時に服用しても問題ない薬剤もありますし、30分から1時間ほど間隔をあければ飲み合わせに問題ないと報告されている薬剤もあります。そのため、クレメジンと他の薬剤を服用されている場合には、他の薬剤を服用した後に、最低1時間は間隔をあけてクレメジンを服用するようにしましょう。また、他にお薬を飲まれていない場合は、食前・食後・食間のいずれの時間にお飲みになってもかまいません。





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